白いそば、黒いそば、緑のそば

お米に精米、胚が米 玄米とあるように、そばの実を、どの状態で粉にしたのかによって、そばの呼び方は変わってきます。麺にしたときの色も、腰も、香りも異なってきます。さらに、いろいろな粉をブレンドした麺もあります。

そばの色の違いから、そば粉の違いとそばの違いを解説します。

①白いそば~更科蕎麦(さらしなそば)
そばの実を挽く時は柔らかい中心部分の内層(胚乳)から粉になり、外側ほど硬く、中層、表層と順に粉にしていきます。

そばを挽く際に1番最初に出る上割れは、そばの実の中心部分、澱粉質な胚乳の中心部を挽いてできた粉で、真っ白な粉になります。これが更科粉(さらしなこ)です。後から挽かれて出て来る粉に比べて、粉が白く上品な香りを放ちます。この部分の粉は、量的には、全体の15~30%程度しか取れません。
この粉で打つそばが、まっ白な更科蕎麦(さらしなそば)です。

2番粉は、更科を除いた胚(蛋白質)等を軽く挽いた粉です。更科同様、色の白い粉で、これを使ったそばは、香りもよく、甘みのあるそばになります。更科を除いて、この粉からを1番粉と言うこともあります。

3番粉は、2番粉を取り除き、さらに挽いた粉です。そこから末粉にいたるまで、だんだん色が濃くなり、風味が強く、歯ごたえのある麺になります。

そばの色は更科粉(1番粉)、2番粉、3番粉と使う粉の順に黒くなり、白いほど腰が強くて喉越しがよく、黒いほど香りや風味は強くなります。

1番粉を使用した蕎麦が「更科そば」です。東京でもよく食べられます。更科粉は粘りがなく、100%そば粉からなる「生粉(きこ)打ち」には、湯ごねや友つなぎ(ゆるい「そばがき」あるいはそばを糊状にしたつなぎ)を使うなど、特殊な技法を使わない限り打てません。香りが弱いので、水をよく切ってから、汁(つゆ)にしっかり浸けて、ほぐして食べます。

②黒いそば~田舎そば
収穫したソバの実は堅い殻(黒い外皮)に包まれています。
そばの実の外皮をつけたまま挽いた粉を「挽きぐるみ」と言いますが、この挽きぐるみのそば粉で麺を打ったそばを、「田舎そば」と呼んでいます。
そば殻も挽き込むことから、一般的には黒っぽいそばになります。星と呼ばれる黒い粒(蕎麦殻)の入った、色の黒いそばもあります。

昔から民家では、そばを殻ごと製粉し、ある程度篩(ふるい)をかけて殻を取り除いたものをそば粉として使っていました。太くて固めの麺になります。そば殻も挽き込んで作られた麺は、そばの香りだけでも十分強いので、あまりつゆをつけなくても十分食べられます。たんぱく質が多くて伸びやすいので、水気が切れる前に、すばやく濃い目の汁にわずかに浸けて食べるのが一般です。長野県などの山村では、よく食べられています。

3番粉や末粉などで作られるそばも、「田舎そば」と呼ばれることもあります。
また、「田舎そば」は、つなぎに山芋などを使う場合もあります。

③緑のそば~藪蕎麦(やぶそば)もしくは藪系のそば
収穫したソバの実から外側の硬い殻だけを取り除き、淡い緑色の甘皮を付けたままの「丸抜き(抜き実)」は、甘皮の色で鮮やかな緑色をしています。
収穫し立ての「丸抜き(抜き実)」を挽いて作ったそばも、緑色の甘皮の色により、うぐいす色のそばになります。
この甘皮部分を挽き込むことによって緑がかるそばの色は、長い間「藪そば」ないし「藪」系のそばの特徴とされてきました。
種皮の緑色が鮮やかなそばは、すすったときの香りもよいものとされてきました。
今でこそ倉庫で低温保存が可能になりましたが、昔は収穫し立ての「緑色のそば」が普通でした。緑色の甘皮は、収穫してから日が過ぎるほどに灰色へと変化します。よく見かけるそばの灰色も、実は甘皮の色と言えます。

現在このそばの緑色の特徴を出すために、店によってはそばの若芽を練り込んだり、あるいはクロレラを練り込んだりすることによって、緑色を出している店もあります。