新そばって何のこと?

秋になると、「そば屋」のいたるところで「新そば」を銘打ったポスターが貼られてあるのを見かけます。
「新そば」ってどんなそば?いつを「新」って言っているの?それを説明するのに、まずそばの収穫時期からご説明します。

■一般的には「秋そば」のこと

そばには、播種と収穫時期によって「夏そば」と「秋そば」とがあります。

「夏そば」の場合、播種(はしゅ)は九州の4月上旬から北海道の6月下旬、収穫は九州の6月中旬から北海道の8月中旬、「秋そば」の場合、播種は北海道の6月上旬から九州の9月上旬、収穫は北海道の9月中旬から九州の11月中旬とされています。

一般的な夏そばの特徴として、長日条件でも30日前後で開花し、夏の高温下でもよく実ることが挙げられます。逆に晩播きになるほど、結実が劣る傾向があるそうです。

秋そばの場合には、播種が早すぎると茎葉が伸びすぎて倒れたり、結実が難しくなったりするとされています。一般的に秋そばは、晩播きの方が、結実がよくなるとされています。しかし、収穫が遅れると、初霜に遭う危険があるので注意する必要があります。

こうした夏そばと秋そばですが、夏そばは感光性が弱く、感光性の強い秋そばに比べて味、色、香りともに劣ってしまうとされています。日本での生産量も秋そばのほうが多く、通常10~11月に出回ります。

さて「新そば」は収穫し立てのそばのことであり、夏そばにも、秋そばにも、当然「新そば」はあります。夏に収穫された新そばを「夏新」、秋に収穫された新そばを「秋新」と言います。

しかし、一般的に秋そばのほうが香りが高く、味わいもふっくらと甘く、また色も緑がかったものが多く美しいと言われていることから、「新そば」と言ったら、収穫したばかりの秋そばを言うのが普通になっています。

■「夏そば」にも銘品はある!

一般的には秋そばのほうがおいしいとされているそばですが、「夏そば」にも「幻のそば」と呼ばれる有名なそばがあります。
北海道の「牡丹そば」は、夏そばとして、道内で古くから作付けされてきました。
背が高くて倒れやすく栽培が難しく、穂が長く最初の花と最後の方の花が離れていることから収量も少なく、さらに一株につく実が熟する時期が異なることから、収穫も難しいのだそうです。
そこで改良種である「キタワセソバ」が主流となり、現在では北海道産そばの9割近くが「キタワセソバ」で栽培されています。
「キタワセソバ」を用いたものも含め「牡丹そば」は、優れた味や香りを持ち、知る人ぞ知るそばのブランドとなっています。

収穫されたばかりの「新そば」の香りのよさは、もちろんこうした「夏そば」にだって言うことができます。

■新そばと言える時期は?

よく9月になると、「新そばの季節だね」などという声も聞こえてきます。またそば店のポスターに「新そば登場!」「新ソバの出るこの時期にご来店を楽しみにしています」などというのもあります。

しかし秋そばの収穫時期は、産地によって異なります。9月イコール新そばの時期ではありません。秋そばの収穫時期は11月中旬頃までです。9月にいち早く「新そば」のポスターを出している店があったら、通らしく産地を聞いてみるのもいいかもしれません。

さて、「新そば」とは、収穫したての「秋そば」を指して言い、産地によって時期のズレることもわかりましたが、「新」とつくからには、食べ頃と言える時期というものがありますよね?

今のように保存技術が進んでいなかった昔は、常温で保存しているとそばは著しく劣化していき、繋ぎに苦労するほどボソボソになっていくので、基本的に収穫したそばはできるだけ早く食べるのが普通でした。

しかし現在は低温保存も可能になったことから、いつ頃までを「新」と言うのかは微妙です。もちろん収穫されたそばを速やかに挽いて、即食べるのが理想ですが、流通や製造の過程により、そうもいきません。

そこでいつ頃まで「新」と言うかですが、年内というのが一般的なようです。その年の秋に収穫し、年内に食べる場合に、「秋新」もしくは「新そば」と言うのだそうです。
またその年の秋に収穫したそば粉で作った料理も、「新そば使用」という言えることになります。