つけそば、かけそば、ぶっかけそば~そばの食べ方

麺としてそばの食べ方には、大きく分けて、つけ・かけ・ぶっかけの3つがあります。

①つけそば
「かけそば」より古い食べ方です。
「盛りそば」の始まりは、天保年間に幕府にそば代の16文の値上げを申請したところ値上げが許されなかったことから、底に敷かれていた蒸篭のすのこを底上げし、そばを山盛りに見せて、客に出した「盛りせいろ」が始まりとされています。

竹製のザルに盛った「ざるそば」が出回るようになったのは、享保の頃と言われています。みりんなどで味付けしたそばつゆの「盛りそば」に対し、「ざるそば」は、そばつゆに砂糖を用いたそうです。江戸時代当時、まだ貴重品だった砂糖をつゆに用いた「ざるそば」を、「盛りそば」と区別するために、そばを盛る器を「ざる」にしたという説もあります。
さらに、明治に入ると、高級品だった海苔を「ざるそば」の上に乗せることで、「盛りそば」との違いを明確にしたと言われています。
現在は、つゆの違いはなくなり、「ざるそば」と「盛りそば」の違いは、海苔を散らしているかどうかだけの違いになりました。

つなぎに小麦粉を使われるようになったのは、江戸時代中期以降のことで、それまでは、そば粉100%の十割(じゅうわり)そばは茹でると切れやすいので、せいろ(蒸篭)で蒸した「せいろそば」として、そのまま客に出していました。「せいろ」に乗せて蒸したそばは、温かく、湯気が立っているのが普通でした。「せいろそば」は、底に敷かれていた蒸篭のすのこを底上げし、そばを山盛りに見せた頃から「盛りせいろ」に変化していきました。やがて「盛りそば」と呼ばれるようになり、「せいろそば」の異名となりました。

やがて小麦粉がつなぎに使われ出してからは、そばは茹でて冷やしたものが用いられるようになり、現在では「盛りそば」「ざるそば」ともに冷たいそばの代表格になっています。
つゆはそばとは別に、「そば猪口」と呼ばれる小型の器に入れて出され、薬味として、すり下ろしたわさびと刻んだネギが添えられるのが一般です。
茹でたときに用いた湯を「そば湯」として、湯桶(ゆとう)に入れて一緒に出す店も多くあります。

②かけそば
今わたしたちが食べているような麺状のそばは、江戸時代初期に生まれ、その頃のそばは、汁につけて食べる「つけそば」でした。

「かけそば」の始まりは、元禄(1688~1704年)の頃に、せっかちな江戸っ子の荷運び人夫などが、そばに汁をかけて食べるようになったことが始まりとされています。名前としての起源は、新材木町にあった「信濃屋」の「ぶっかけ」とされ、寛延4年刊の『蕎麦全書』にその記述が見られます。そこでは人足たちが立ったまま食べられるように当初は冷やかけにして出していましたが、やがて寒い時期には、熱いつゆをかけて出すようになりました。
当初は行儀のいい食べ方とはされていなかったようですが、器が1つで済むことから便利がられ、女性にも人気となり、各地に広まっていきました。

1789年 (寛政)ごろからは、「ぶっかけ」から、さらに「かけ」と呼ばれるようになりました。
現在かけそばは、多くは熱いつゆのものを指して言います。「もりそば」や「ざるそば」の「冷たいそば」に対し、「かけそば」は「温かいそば」に分類されています。

「かけそば」は、ヌメリを取り、冷水や氷水で締めた茹でた麺を、熱湯で温め直してから、熱いつゆに入れて出されています。薬味として、小口切りにした長ネギと七味唐辛子がよく用いられます。

③ぶっかけ蕎麦
多く温かいつゆに入ったそばを「かけそば」と呼ぶようになったのに対し、冷たいつゆをかけて食べるそばと「ぶっかけそば」と呼んでいます。

つゆは別に器に入って出されますが、そばを箸で摘まんで、つゆに運んで食べる「つけそば」と違い、「ぶっかけそば」は、つゆを運んで、そばにかけて食べるものです。

器も、一般的には丼よりも広口の器が用いられたり、深皿のような器が用いられます。「もりそば」や「ざるそば」とは違い、多くは具が用いられます。キュウリ、錦糸玉子、カマボコ、ワカメ・・・などが、そばの上にきれいに盛りつけられます。冷やし中華を連想させる食べ方と言えます。

こうした「つけそば」「かけそば」「ぶっかけそば」の中には、温かいつゆの「つけそば」や冷たいつゆの「かけそば」もあります。