そば湯の栄養

■そば湯の味わい方はそれぞれ

そば湯はそばを茹で上げたお湯のことです。冷やしの付け麺に添えて、湯桶(ゆとう)に入れてそば湯を出す店も多くあります。

もともと冷やしのつけ麺のつゆは、そのまま飲むには味が濃いので、そば湯は、そばを食べ終わった後に、そばつゆに注いで飲むための割り締めでした。茹で湯に残ったそばの風味や、そばつゆのだしを味わう目的がありました。
残ったそばつゆをいったん捨てて、新しいそばつゆを、そば湯で割って飲む人もいます。
近年塩分の摂り過ぎが取り沙汰さられることもあり、そばつゆに混ぜずに、そば湯のみを味わう人も増えてきました。

そばと同時に持ってくる店もありますが、そばを食べ終わる時間を見計らって、そば湯の入った湯桶を持ってくる店も多くあります。
また、そば湯を焼酎の割り湯にして、「焼酎のそば湯割り」を出している店もあります。

●ルチンって、水に溶けるの?
そんなそば湯ですが、そば湯は栄養の宝庫だと言われてきました。そば湯は、味わう以外にも、栄養という意味でも飲んだほうがいいと言われてきました。
そばの栄養の中でも、特にフラノボイド系のポリフェノールであるルチンは、強力な抗酸化作用を持ち、成人病予防など、効能の高い栄養素とされています。
このルチンは、その多くが湯の中に溶け出してしまうので、そば湯から摂るべきとの話もまことしやかにあちこちで聞かれました。
でも実際はどうなのでしょうか?

ここでルチンについて言えば、天然のルチンは難水溶性で、水溶性ではありません。 ですから、ほとんど湯に溶けることはないと言っていいでしょう。

水溶性のルチンとされているものは、食品添加物(酸化防止剤)として使われている「α-グリコシル-ルチン」のことで、天然ルチンに糖転移酵素を作用させ糖の分子を人工的にくっつけたものです。そうすることで、天然ルチンの5,000倍も水に溶けやすくなるのだそうです。「α-グリコシル-ルチン」は、1989年に岡山県の化学メーカーが特許出願し、厚生労働省も、人工的に作りだされたこれを食品添加物(酸化防止剤)として認め、「水溶性」としています。
サプリメントでは、「α-グリコシル-ルチン」を添加しているものも多くありますが、天然のそばに、この「α-グリコシル-ルチン」はほとんど含まれるものではありません。ですので、皆無とまでは言い切れませんが、そば湯にルチンが溶け出していることはほとんど期待できないと言えます。

こうした不水溶性(ないし難水溶性)の天然ルチンに対し、ビタミンB1やB2などは水溶性です。水溶性の栄養素がそば湯に溶けていることは大いにありえます。ですのでそば湯から摂れる栄養素は、ルチンではなく、この辺の水溶性の栄養素に期待してみるのはいいかもしれません。

いずれにせよ、そばの栄養がそのままそば湯から摂れると思い込むのは誤りと言えます。

■ドロッとしたそば湯を好む人が多い

そば湯は、水を多量に使ってそばを茹でる店では、サラッと薄くなります。
逆にそば湯が少なめで使い回している店ほど濃くなる傾向にあります。

本来は、そば湯に良水をふんだんに使用してそばを茹でてもらったほうが、
良水の味わいも含めて、気分のいいものではないかと思います。

しかし、ドロッと白濁した濃いそば湯を好む客も多いことから、最近ではわざわざそば湯を煮詰めたり、小麦粉を溶かし込んだりして、わざわざ濃いそば湯を作る店もあるそうです。そうなってくると、白濁してドロッとしたそば湯だから、味わいのあるそば湯、あるいは栄養のあるそば湯とはとても言えないことになります。

そば湯に残るそばの風味にしても、茹で湯に用いた水の味わいにしても、
本物を見極めていきたいものです。